2017/05/30

サイレントマジョリティ

気がついたら年始の投稿から半年経っていた。

年始に今年は世代交代だ的な話をして、諸々若手に任せて回していくことから、
 自分が無駄な発信をして老害にならないようと思っていたからだ。

という訳ではない。

 一歩引いて自分のいる世界を見ると、あらゆることがどうでも良く見えて、
一々何かにつけて発言する気にならなくなっただけだった。

そんな感覚で何を書こうかなって思ってたらちょっと良いネタがあったので久々に書いてみる。

とあるアパレル業界の専門家のブログで、
大衆は洋服のことなんてほとんど知らないんだから
 「ノースリーブワンピース」を「ランニングシャツが長いみたいなの」とか普通に言うし、
 店舗の陳列を見て、女物と男物の区別も付いたり付かなかったりが当たり前だという投稿があった。

これは超絶ごもっとも。
自分もどちらかというとそっちの類の人間だと思うから良く分かる。
横文字の名称を積極的には使わないし、服だ靴の細かい機能だとか素材だとかほんとにどうでもいい。
更に、モノの付帯情報に関してはどうでもいいを通り越して無意識にシャットアウトしている。
そういう部分にお金を払うという感覚に至っては、ほんとにコンマ1ミリも持ち合わせていない。
自分が作っているものは単なるコスプレ用具で服ではないと定義しているのもそういう理由からだ。

先のブログでは、そういった層(良く分かってない大多数の人達)を「サイレントマジョリティ」であると定義し、
そこを教育し、惹きつけられないブランドが多いから不振に喘ぐブランドが多いとまとめていた。

果たしてそうなのか?

「ブランド」ということでいえば、ちょっと違うと思う。
例えば「ルイビトンのランニングの長いやつ」が欲しいババアは沢山いると思う。自分もそうだ。
ババアや自分達からしたら、それがどういう用途のアイテムで名称がどうで、
どんなデザイナーが何をイメージしてどんな生産工程で熟練の技がどう盛り込まれて作られているかなどどうでもいい。
ブランドという信頼を求めたり、そのイメージを身に付けることで見栄を張ったりしているだけ。
そういう意味では、やはり一流のブランドはサイレントマジョリティに対しても、ブランディングがしっかり出来ていると思う。

音楽というかDJのブランディングと市場拡大も同じだと思う。
自分は昔からジャンルとか全然知らないし、流行り廃りとかもどうでもいい。
なんとなくこういう感じが好きとかかっこいいとかはあっても、 それすら結構ブレるし、
音楽に付帯する細かい事については全くといって興味がない。
音楽の話しをしてて適当な相槌を打っている時は全く分かっていないと思ってもらって差し支えない。
ポーザーというのはそういう意味だから。

そういうサイレントマジョリティが沢山いるなかでも、真の意味のブランディングは必要なんだけど、
そのうえで、「なんとなく彼らの音楽や雰囲気が好き」ぐらいのお客さんを
如何に味方に付けられるかどうかが大事。

DJの世界でいえば、ここ数年箱DJ的な人達が台頭しているのはそういうことなんだと思う。
サイレントマジョリティ向けの流行りの音楽だけでなく、
DJとしてやらないといけないことも多少混ぜて上手く提供できて
玄人に文句を言わせずに、サイレントマジョリティのニーズも満たせているから。
別にものすごく面白い訳じゃないけど上手いし、分かってるよねっていう。

これに対して、2017年に入ってから良い意味でオタクの興隆が目立って潮目が変わってきたように感じる。
元々うるさい声のでかい少数派をターゲットにしたタイプの人達がネットの世界からリアルな世界に出てきた。
彼らが、サイレントマジョリティにまでしっかり教育したり、そういう層を巻き込んだりしてシェア拡大できるのか、
現状に手詰まってるブッキング担当やイベンターが、目立ってきたオタクを目新しい流れとして乗っかって起用して
一過性の流行りで終わるのか見物だと思う。

うちは、時流の見極めが難しい今年はより一層マイペースにポーザーとして、そのどちらの要素も取り入れて適当にやるだけ。
若手は毎日動き回ってるけど、自分は夏までは大きいイベントが月に1個ぐらい。
その分、一回一回のクオリティを上げて楽しんでいきたい。

一番サイレントマジョリティの気持ちが分かるプレーヤーとして。

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