2016/01/26

顧客視点とは②

前回、顧客視点とは何ぞや的な話を書きましたがその続きです。

クラブはDJなどのパフォーマンスというコンテンツでお客さんを集めて、ドリンク販売で利益を稼ぐのがサービスの原理原則ですが、お客さんがクラブに求める要素は多岐にわたっていてニーズが複雑という変わったサービスだと思います。

例えば、視聴する音楽の内容に関するニーズ、映像・ライティング等音楽に付帯する要素に関するニーズ、その他パフォーマンスの視聴に関するニーズ、コミュニケーション・出会いに関するニーズ(それぞれ同性・異性を対象としてケース分けが必要)、飲酒に関するニーズ・・・。という感じで1つの事業者により一定の空間で提供されるサービスに対して様々なニーズを複合的に持った人が集まるため、顕在化しているニーズの把握・分類だけでも大変です。

音楽をハブとして自らのニーズを繋げて満たしたいっていう部分では音楽がキーになることはいうまでもありませんが、多岐にわたるニーズの把握はとても難しく、そもそも生活に必要なものではないから見えているニーズの裏側にある本当の潜在ニーズなんてものがあるのかというと必ずしもそういうものでもなさそうだし、特殊な世界だと思います。

前回、売り手が考えるユーザーニーズの押し売りはダメっていうのは述べたとおりですが、だからといって顧客視点を強く反映しようとして「お客様の声」的なリサーチをしてその結果そのままをやっても全然ダメというのはよく聞く話で、お客さんに聞いた答えと実際の反応は真逆だったりするといいます。

リサーチした結果、商品やサービスを深く知りたい欲しい(だろう)と考えて詳細な商品説明を用意したけど、お客さんには実際には難しい話はどうでもいいから固い選択肢だけいくつか用意しろバカって言われるとか、あなた達へのリサーチ結果を反映させて作ったものと、従来の製品どっちかあげますって言ったら、くれるならとりあえず普通のやつ貰っておきますって人が多いなんていう話があります。要するに、顕在化しているニーズではなく潜在的な本当のニーズを汲み取ってそれを提供しないとダメってこと。


リサーチ結果だけでもダメっていわれても・・・ お客さんのニーズを把握するには結局は接点を増やして、本当のお客さん、熱量の高いお客さんのリアルな声を聞くことぐらいしかありませんよね。
クラブでいえば、やる側の立場で提供したいこと、お客さんの立場で欲しいもの、音楽以外の様々なニーズ・・・ これらを実際に体感して、顧客視点と自らの視点を擦り合わせていかなければ、複合的なニーズの裏にある潜在的なニーズは分かりませんから。

そこで、クラブに関連する様々なニーズを拾えるように色々な実験ができるイベントを不定期にやっています。それが「RHYGIN」 今は表参道のARCで木曜日の19時~終電ぐらいまで エントランスフリーでやっています。

音楽的には、いつものような不特定多数のお客さんをぶち上げなければいけないという試合的な感覚ではなく、様々な音楽を提供することでニーズを汲み取る実験をしてますし、場所柄、時間帯的に人的交流も非常に多様性に富んでいます。

数字による判断を軸とせず、本当にお客さんが求めていることを提供したい。本当のニーズを踏まえて作り上げていくことに主眼を置いたこのイベントに来ると、きっと自分のニーズにあったクラブの楽しみ方が見つけられるんじゃないかと思いますよ。

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